世界では大麻解禁の追い風が強く吹いている状況であり、日本でもいつの日にか解禁となる日が訪れるかも知れない。
HIPHOP界やREGGAE界では嗜好品としての大麻解禁を待ち望んでいる様だが少し考えてみて欲しい。
大麻が解禁になって困るのは誰か、
という事を。
ラッパーの”アイデンティティ”としての大麻
ラッパーのリリックにはマリファナ、カンナビス、ハッパ、ウィード、420、ジョイント・・・無数にある大麻の別名が頻出する。
また、MVでもこれ見よがしにジョイントを吸う姿もよく見られる。
(ジョイントに見せかけた手巻き煙草かもしれないが・・・)
ラッパーは「大麻を吸う」事を
アイデンティティの一つとして扱っている。
それは今の日本では
“違法である”為に強い力を持つ。
「いやいや大麻吸うのなんか普通だから。」
という地獄のミサワ風の謙遜の体を取る自慢でさえ、違法である事を前提に成り立っているのである。
もし解禁され、大麻が一般人の日常にも溶け込むとしたら、ラッパー達は今まで持っていた強いアイデンティティを失う事になる。
自身のブランディングにも使えなくなるのは手痛い。
煙草を吸うのと変わらない程度の認識になってしまうと、ブランディングどころのでは無い。
経営危機に陥るラッパーが出てくる可能性もあるのではないだろうか。
商売道具としての大麻
ラッパーが金を稼ぐ有名な手段と言えば、プッシャー(大麻などの売人)だ。
SEEDA、漢 a.k.a. GAMI(MSC)、D.O、舐達麻、孫GONGなどは過去もしくは現在もプッシャーだと公言している。
SEEDAに至っては自身が売人だった頃の記憶を映画「花と雨」で詳細に暴露している。
彼らが大麻を取引して儲けられるのは、
違法だからである。
一般に出回らないからこそ高値で取引され、それが利益となる。
合法化されれば、企業が質の良い大麻を製品として安価で売り出すだろう。
そこら辺で質の良い安価の物が手に入るなら、わざわざプッシャーから買う必要がなくなる。
大麻解禁はプッシャーの仕事を奪う。
そうなれば彼らは何を商売道具にするか?
答えは一つしかない。
違法薬物とされる覚せい剤類だ。
今でも大麻と一緒に覚せい剤を売っている売人は多いが、解禁によって取り扱いは絞られて自ずと量は増えるだろう。
大麻とドラッグは違う?
最近は漢 a.k.a GAMIが逮捕された際もHIPHOP界は大いに騒いだ。
漢は最初に大麻取締法で逮捕された。
その時には
「あーですよねイメージ通り」
と、あまり批判的に捉える人間はいなかったように思える。
だが、覚せい剤使用が発覚した時には
「それはちょっと・・・」
という反応が批判に転じた人間が殆どだった。
多くの人は
「大麻はいいけど、覚せい剤はダメ」
という認識を持っているように見えた。
正直、僕もそう思っている。
だが、いつまでもその感覚でいられるだろうか?
と考えたら不安になった。
次のトピックで詳しく話そうと思う。
大麻解禁の是非
別に僕は熱心に大麻を解禁すべきとも禁止し続けるべきだとも思わない。
ただ、大麻を解禁した場合のデメリットはあると思っている。
ゲートウェイドラッグとしての大麻
の役割だ。
大麻はそこまで害はないのかもしれないが、大麻を知れば同じように語られているコカインやLSDなどの覚せい剤にも手を出してしまう人間が一定数いることを忘れてはならない。
煙草が大麻へのハードルを低くするように、
大麻は覚せい剤へのハードルを低くする。
現在の社会では大麻と覚せい剤は同列に語られている。
“気持ちよくなれるもの”として
大麻と覚せい剤を捉えた時に、
「ちょっとあっちもやってみようかな」
となるのは人間として当然の心理である。
更に、大麻が解禁となれば、ラッパーやアウトサイダー達は覚せい剤類をアイデンティティを作る道具として今よりも活用し始める可能性もある。
また、大麻という商売道具を無くしたプッシャー達は、覚せい剤類の取り扱いを増やすだろう。
(まぁだからと言って大麻に全ての責任をなすりつけるのはどうかと思うが。)
大麻についての様々な意見
「大麻は煙草より害が無いのに。バビロンの陰謀だ!」
とかいう奴は短絡的なアホだなと思う。
「大麻はケミカルとは全然違うし。知りもしねぇくせに批判すんな。」
とドヤ顔で語り始める奴は、化学薬品を嗅いで「エンッ!!」ってなったコピペと同じ匂いを感じるよ。一応貼っとくよ。
中学の頃、教師からの評価を良くしたかったのと、ケミカルな雰囲気が格好いいと思い込んで理科室の手伝いを良くしていた。(といってもゴム栓に穴をあけたり、ビーカーを掃除したりする程度)
でも当時の俺は、自分がだんだん子供ながら天才的な化学の知識を持つすごい奴だと勘違いし始め、ある日友人を無理やり誘って理科室に忍び込んだ。
そこで適当な物質(っつっても多分ふっとう石とか)を指で触りながら
「へえ…○○先生もなかなか良い物を仕入れて来るんだな。」
とか言ってたり、
適当な薬品の入った瓶を傾けて
「ははっ。ちょっと調合の具合がおかしいかな。ま、授業用には十分か。」
とかほざいてた。
友人は当然ハァ?って感じ。
それでも俺はおかまいなしに「ふん。」とか「ははっ!」とかやってた。
そんで一番奥の戸棚を開けて急に表情を変え、「!!これは!○○先生!いったい…!なんて物を!何をしようとしてるんだ!」
って言ってみせた。友人も驚いて「それそんなヤバイの?」って聞いてきた。
俺は「こんなの黒の教科書の挿絵でしかみたことないぜ…!
それなら、もしかしてこっちの瓶は!?」って別の瓶を手に取って嗅いだ。
そしたら、それはなんか刺激臭を発する化学物質だったらしく、
(手であおいで嗅がなきゃいけない奴)直嗅ぎした俺は
「エンッ!!!」って叫んで鼻血を勢いよく噴出しながら倒れ、友人に保健室に運ばれた。
俺は助かったが、どうやら俺の友人が変な勘違いをしたらしく、
「××(俺の名前)は黒の教科書に乗ってる毒物に感染したんです!!」ってふれまわっていた。
それ以来俺のあだ名は毒物くんになった。当然もう理科室に行く事は無くなった。
「法律で決まってるからダメって思考停止じゃん」
と言う奴についてはその通りではあるが、
思考停止くんが社会に溢れているから今の平和が成立しているのを忘れてはならない。
現代の社会は「自分を思考停止くんでは無いと信じる思考停止くん」を作り出すのが非常に上手い。
意味がわからないなら
「カラマーゾフの兄弟」でも読んでくれ。
僕はそこまで大麻にこだわらなくても良く無いですか。と思う。
捕まるリスクを背負ってまで
僕は吸おうとは思わない。
趣味嗜好は人それぞれだけど。
僕はみかんが大好きなのだが、
もしみかんが違法になったら
捕まるリスクを背負っても何とか食べようとしてしまうかもしれない・・・
なので気持ちは分からなくはない。
ドラッグについての意識
僕は小さい頃に栃木県の那須にある大麻博物館に行ったことがある。
子供心ながらに
「ヤバいところなんじゃないか。僕の親は何を考えているんだ。」
と思ったがメインの展示は吸う方の大麻では無く、繊維としての大麻を色々と教えてくれる博物館だった。
昔過ぎてあまり覚えていないが、嗜好品としての大麻の説明もあり、吸ったとしてもそこまで身体に害は無いとも言われた気がする。
僕はその頃から、大麻に対しての抵抗はそこまで強くなかった。
ドラッグに対しては「ダメ、ゼッタイ」という意識はあった。
学校で色々教えられたからだろう。
ラッパーのドラッグの価値観
ラッパーの中でも
①大麻もやらないし派
②大麻しかやらない派
③大麻もドラッグもやる派
と存在するようだ。
どれぐらいの割合なのかは分からないが、
多い順に②→③→①という印象を受ける。
その中でもドラッグには否定よりの意見を
NORIKIYOは「TA.WA.KE」という曲に乗せている。
ドラッグを辞めない仲間に対しての皮肉たっぷりの説教が乗ったリリックを書いている。
空也MCの「Drug kill」ではドラッグに手を出す人間の気持ちを赤裸々に描写しており、心情をラップに乗せて吐露する空也MCの声は聴く人の気持ちを引きつける。
DOTAMAの大麻撲滅運動への参加について
個人的には「え、大麻解禁されたらラッパー言う事なくなっちゃうよ!?ヤバイヤバイ」
と思って参加してたら面白いなぁ。と思っただけ。
DOTAMAに対してラッパー達から様々な意見があったが、ダースレイダーの言っている事には「なるほどな。」と思った。
逆に言うと、他のラッパーの言葉には納得性があるものが少なかった。
ダースレイダーはDOTAMAの行動に批判的で、主張を要約すると、
いろんな奴が居るってわかってるのに、撲滅っていう強い言葉を使うのは多様性を認めない事になる。多様性を認めるグループ(HIPHOP界)に所属しているのに、それは無いだろ。
って事だと思う。
まとめ
色々言いましたが、
大麻が解禁されると、
覚せい剤の流通量も使う人も増えちゃいそうだね。
って言いたかった。
まぁ大麻解禁されたら僕も普通に吸うけど。
チャオ。